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「元はといえば渉が…ちゃんとしてなかったから悪いのにっ」
非難の声を浴びせながらも何度も肩を打ってくる。
その拳から顔だけはガードしつつ、身を捩ってなんとか逃れようとした。
「全部、全部アンタが悪いんじゃないっ!…なによぉっ」
嵐のような打撃は、すぐに止み、
いつの間にか助手席に移動してきていた真希がボロボロと泣きだした。
「…俺は最初からこういう人間だって、言った。」
「…でもっ!」
「でも」なんて知らない。
勝手に期待したのはソッチで、俺は最初からこうだった。
それに「ちゃんと」って、なに?
「ちゃんと私のことを好きになってくれたら」という意味なら、ある意味で俺は”ちゃんと”真希のことも好きだったつもりだ。
「…なら、尚更なんで拓を巻き込んだんだよ。サイテー」
「…っ!」
真希を見る俺の目が据わる。
俺を見る真希も同じだけの憎悪に満ちていた。
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