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もうこれ以上、俺から何て言えばいいのか見当もつかない。
言いたいことは云ったし、やれるだけの策は出しつくしたつもり。
(…なんでまだ、降りようとしない?)
このまま留まってたら、何か展開があるとでもおもってんのか?
呆れてボーっとしていると、ドリンクホルダーに入れっぱなしだったケータイが振動してチカチカッって光った。
メール、じゃない。着信だ。
受話器越しの相手は六花だった。
「はーい、どした?」
賑やかな話し声が隣からも聞こえてくる。
「おっけ、はいはい。も~最後だしな、お願い聞いてやるよ。」
短い通話を終え、横の真希を見遣る。
「六花たちが居酒屋で待ってるって。どうする?お前も行く?」
無神経だよな…って、自分でおもう。
でもそういうキッカケでもなければ、この状況からは抜け出せないから。
「行く、…わけないじゃん。」
「あ、そ。じゃぁ降りて」
視線は画面に落としたまま、数件のメールもホルダを開いて確認する。
拓也からは、なかった。
「うん。あの、さ…次はいつ会える?」
「さぁ?」
すげない返答。
「友達として会うのは、いいよね?」
「そうだね。」
ここで嫌だといったら、また時間がかかりそうで。
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