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洗面所を借りて支度を終えれば、起きた拓は俺に持たせるための米を計って玄関先に置いてくれていた。
「朝飯、食う?」
「めずらしー!なにあんの?」
「米!と、漬物くらい」
「おぉ~何漬け?」
「茄子のヌカ漬け。佃煮もあったかなー」
冷蔵庫から出されたそれは実家からお米と一緒に送られてきたものらしく、
ケース買いしてある野菜ジュースと供にテーブルに並んだ。
「質素だな~…」
「なー。今日あたり宅配で注文しねーと死ぬなマジ。」
「おまえ…買い物くらいは外に出ろよ?」
拓也はほんとうに引き篭もりというか、出不精だ。
食べるものも飲むものも服でさえ全部ネット買い。
たまーに煙草の買置きとちょっと飲みたくなって酒を買いに近所のコンビニに歩いていくくらいでしか外に出ない。
「別に不自由しねーし。
それにさっきメール確認したらまた仕事のなんかあったからそんなヒマねーもん。」
「え、マジで?お前それ全然休みなくない?」
「ないですねー。まァ、他にやることもねーからイイけど」
「拓、そのうち過労で死ぬンじゃねーの?」
「いやいや、そうなりそうになったら断ればいいだけだし。
ってか、寝るし。
そこは在宅勤務の強みですよ~」
、
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