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「真希そんなに…」
「あれっふたりとも朝から仲良しさんだねー!なになに?ナイショバナシでもしてんのっ」
声を遮って割ってきたのは先輩の大里さん。
一瞬でビリっと緊張した。
…もちろん声のトーンは落としていたからこの会話は俺たちにしか通じていないはず。
(でも、ここで話すような内容じゃなかったよな~…)
聞かれてマズイ話題ではないけれど、店の中で愚痴を云うのはダメだろう。
「おはようございます大里さん」
「おはよー。で、なにしてたんだーよっ」
「なにって、単に予約表の確認してただけですよ」
「なぁんだぁ~ツマランっ。」
ちぇーなんて古いリアクションの大先輩は手提げ金庫を持って俺たちを見下ろした。
「あ、レジあけますね」
「おう、そーしてくれ。さてと、今日もお仕事頑張りますか~」
予約表の紙はもどして挨拶してからロッカールームに引き上げる。
「あっぶねー…焦ったし」
「うん、私も・・・寿命縮まるかとおもった。」
ホッと安堵の音を漏らしお互いに顔を見合わせてちょっと笑ってしまった。
「だよね!まさかあんなタイミングでくるとかさぁ!」
「だよなーっ」
いつもなら、とっくにレジあけして帰ってしまっているはずなのに、と、さっきの驚きを言葉にして共有しあう。
「なに、どしたー?」
「いや、さっき大里さんが来て、でもそのとき指名のハナシしてたからさぁ」
「うっわ!なにそれチョー気不味いじゃんっ」
「そうなんだよなぁ」
「アノ人って技術も人望もあるのに、いま店に出れない分、指名も減ってきてるもんな~」
「経理とかやらされちゃって、フラスト溜まってそーで怖い」
「ってかあれって、普通店長の仕事じゃん。なんで大里さんなんだろ?」
「あー、なんか…ココだけの話し、店長が丸投げしちゃってるみたいよ?
最近結婚したしで、私生活が忙しいとかなんとか理由つけてサ」
「テンチョーは店に出てるのにか?」
「だ、か、ら、…気不味いんだろ」
「あぁ~」
他の同僚も加えて雑談まじりに情報交換というコミュニケーション。
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