ボーイ・フレンド

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家まで送り、別れる最後まで手は繋いだままだった。 夏が本番になろうかという季節。 夜中でもセミは鳴き 住宅街は深夜でもどこかの家から笑い声が漏れていた。 「最後に、キスして。」 「…ん。」 重なった唇は渇いていた。 「これで、終わりだね。 …次は、男友達としてヨロシクねっ」 運転席から見上げる俺に由美は明るくそういった。 「もう、浮気するなよ。」 「それ、渉がいうの?」 「説得力ねーかっ」 「そうだよ。…でも、覚えておく。」 「そっか」 車を発進させ、バックミラーを見ると 由美はもういなかった。 (今日の写真はもう、貰えないンだろうな…) この4年ちかく いつも楽しかった思い出を写真に撮って残していくのは由美だった。 けれど、4年もの時間があっても俺は煮え切らなかった。 由美を「彼女」にしたいと、おもわなかった。 キッカケがなかった。なんてそんなことはない。 だからこういう結果になっただけのこと。 「ちゃんと、好きだったんだけどな…」 信号待ちの前の車のブレーキランプをみながら、そう、自分に呟いてみた。 、
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