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そんな風に俯いた俺を掬い上げるようにして拓がキスしてきた。
「ッ」
そのまま上を向かされ、離れた顔を目だけで追う。
「マア、悪い。いま鍵が壊れててドア開けられねーんだわ」
「え、そうなの?」
「あけようとしたら、なんか引っかかるだろ?」
俺の手をの上からさらに力を込めて回させない様にしながら、平然とよくもまぁ。
「でもさっき不動産屋に連絡したし、そのうち鍵屋も来るとおもう」
「えー大変じゃん。折角、仕事大変だっていうから買い物してきたのに。」
「ごめん。直ったらまた電話するよ。」
「うんー。
でもなにか買って来ようか?
出られないの困るでしょ?」
「あぁ、それは平気。食べるのもはあるし水道も水出るし」
「そっか、わかった。じゃぁ、お肉とかは持って帰るケド袋は提げておくね。」
「うん。ごめんなほんとに。」
こんな会話で納得したらしい。
ズシッと重くなるドアノブに安堵し
コツコツコツ…廊下を遠ざかる足音に耳を澄ませた。
、
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