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否定されたかとおもえば肯定されて、困惑した。
(つまり…どういうことだ?)
「俺とキスしてたのは、まぁこういう人間も居るンだなー?的なことで、ってことか?」
「あとは慣れだな。ノリにいちいち逆らうのも疲れるし。」
「…あぁ、そう。」
これにはあからさま気分が落ちた。
確かにノリではあったけど…疲れるからって、酷いな。
「嫌だったンなら、そう言ってくれればよかったのに。」
そうおもう感情を、遠くから見てる感覚になった。
いつもそう。
自分のことなのに、他人事みたいに感じる瞬間が、たまらなく無機質に無感情になる。
あ、また…空っぽになる。
短くなった煙草をもみ消すのを見つめながら、
じゃぁ、どうするんだろう?
って、おもった。
「浮気も二股も、他人事なら許せるけど俺は無理だわ」
灰皿を置き振り返って俺の肩の横に手を置いた顔は真顔で。
重みが増したスプリングが軋む音をたてた。
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