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「なんかなぁ、…俺は渉やマアみたいに器用には生きられないタイプっぽい。」
「・・・・は?」
耳元の声に
―ドッ
心臓が抜け落ちて奈落の底に堕ちる衝撃。
それでも顔を見られてないから、なのか。
反射的に誤魔化す台詞は嘘を吐き慣れた口からコロコロ出てくる。
「俺はともかく、なんで急にマア…?」
鼓動は今までにない早さで脈打ち指先まで冷たくしているのに、こめかみだけが熱い。
「…俺が何も知らないでいるとでもおもってた?」
重みが消え、安堵と怖さのバランスがゆらゆら。
硬直する俺のシャツに侵入したて肌上をすべり胸元まで引き上げて露にさせると左胸のうえで止まった。
満足気な顔で。…笑顔で。
(あ、これ誤魔化しても無駄だな…)
瞬時に悟って音を上げた。
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