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「じゃぁ、今日から僕の彼女ね!」 亮はうれしそうに笑った。 あかねには、その瞳の輝きが眩しすぎた。 亮の携帯電話が鳴った。 「もしもし、ああ、祐二・・うん、昨日はちょっと。バイトどうだった?そうか。ああ、おばぁちゃんにはスタジオ泊まったって。・・うん、恩に着るよ。じゃあ」 「家で心配してるんじゃない?」 「ははっ。バイト先に泊まったことにしてもらいました。 祐二とは中学ん時からの親友で一緒にバンド組んでます。日本の中学は半年しか通ってないけど、留学してもずっと連絡取り合ってて。俺は学生だけど、あいつは音楽一本。ライブハウスが近いから、うちで一緒に住んでます」 「そう」 「あかねさん、今日カフェ休みでしょ?」 「うん」 「じゃぁ、僕とデートしませんか?」 「え?学校は?」 「単位逃さない計算ちゃんとしてるから大丈夫」 「だめよ、ちゃんと行かなきゃ。朝ごはん用意するから、シャワー浴びたら降りてきて」 「は~い」 すねたように少し下唇を出しながら亮は言った。 愛らしいその表情に、あかねの気持ちは複雑だった。 「ちょうど準備できたところよ。座って」 部屋から降りてきた亮にあかねはカウンター席に座るように言った。 亮は少し照れたように、席に座った。 ふと入口のドアを見ると、にょんたんが先に朝ごはんを食べていた。 「あ、ミカ、、にょんたん!おまえ、朝ごはんまでごちそうになってたのか?なんか先越されてるなみたいでちょっと悔しいなぁ」 「何言ってるの?さぁ、どうぞ。あり合わせだけど」 ご飯に赤だしの味噌汁。卵焼きに焼き魚とお新香の朝食が亮の前に並んだ。
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