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「うわぁ~、おいしそう!いただきま・・あれ?あかねさんは?」 「私は後で食べるわ。今はコーヒーが飲みたいから」 そう言って、あかねは亮のカウンター越しに立ちながらコーヒーを飲み始めた。 「あかねさん、こっち」 亮は、自分の右隣の椅子を引き寄せポンポンと叩いた。 「コーヒー、こっちで飲んで、ね」 「まぁ」 「ね」 あかねは席を移動した。すると、亮はすぐにあかねの左手を握った。 「いただきま~す!」 亮は左手で勢いよくご飯を食べ始めた。 あかねは自分の手を握っている亮の手をまじまじと見た。 がっしりとして大きな手。長くて美しい指。 亮という男は、知れば知るほど魅力的だ、とあかねは思った。 気づかれないようにするのが大変だった。 亮が何をしても、あかねの心は高鳴るからだ。 そしてさびしくなった。 亮は、相変わらずあかねの手をしっかりと握っていた。 「亮くん・・さっきの話だけど」 亮はあかねの方を見た。 「さっきの話?」 「うん。その、付き合うとかっていう。それはちょっと考えさせて」 亮の動きが止まった。箸を置き、あかねの次の言葉を待った。 だが、あかねはそこから先の言葉をなかなかつなげることができなかった。 それでも、亮はあかねの言葉を待っていた。 あかねは亮の右手から逃れようと左手を動かした。が、亮はそれを許さなかった。 さっきよりも力を込め、あかねの手を握った。 「なぜ?」 「・・・」 「僕のことが嫌い?」 あかねは首を静かに横に振った。 「とにかく、考えさせて」
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