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「年の差を気にしてるのかな。俺はちっとも気にしてないのに」
にょんたんは手で顔をなでている。
「気に、なるか。女性は・・」
「ニャ~」とにょんたんが鳴いた。
「俺があかねさんと同い年だったら、こんなに困らせることはなかったかな。困らせてるのかな。俺」
にょんたんを抱き寄せた。
「でも、こんな気持ちは初めてなんだ。あかねさんを見た瞬間、もう、気になって気になって。わかるか?にょんたん。触れたくて触れたくて・・おいミカ、、にょんたん!聞いてるのか?」
にょんたんはベッドを飛び出し、窓の外へと行ってしまった。
「本当に好きなんだ。そんな人を困らせたくない。考えたいって言ったんだ。十分に考えさせてあげたい。気持ち的には。でも、頭ではそう思っても、どうしても会いたくて、話がしたくて、触れたくて。ああ、こういうの、子供っぽいと思われるかなぁ・・。男らしくないって、思われるかなぁ」
「亮さん、さっきから何をぶつぶつ言ってるの?」
いつの間にか、ドアが開き、亮の祖母が微笑みながら立っていた。
「お、おばぁちゃん!いつからいたの?びっくりするじゃないか!」
亮は驚いて起き上がった。
「あら、ちゃんとノックしましたよ。返事がないから、いないのかしらって。・・逆に驚かせちゃったわね。ふふっ」
愛らしい表情でマダムは言った。
「ところでなにか?」
「いえ、今夜出かけるのはわかってますね」
「え?」
「ほらこれだもの。やっぱり確認しに来てよかったわ。今日は夕方から取引先のアパレル会社のコレクションに招待されてるでしょう?雅夫は今海外だから、代わりに出席するようにって。連絡あったでしょ?」
「おばぁちゃんが行くのに、わざわざ僕まで行くことないよ。父さんにも言っておいてよ、会社はちゃんと継ぐから、それまではそういった席に参加するのは遠慮しとくって」
「亮さん・・」
「悪いけど、おばぁちゃん、僕じゃなくて祐二を連れてってあげてよ。あいつ、ファッション関係好きだからさ」
「だめですよ。いつもその調子で逃げるんだから。それに、頼りにしてるのよ、雅夫も由紀子さんも。息子のあなたを」
「ふーっ。わかったよ。おばぁちゃん」
亮は静かに言った。
「では、あとでね」
マダムは亮の部屋のドアを閉めた。足元にはいつの間にかにょんたんがいた。
「さ、行きましょうミカエル」
にょんたんを抱き上げ、マダムは階段を下りた。
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