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イベント会場からパーティー会場へと移動する間中、祐二は興奮した様子で話した。 「さすが、すごかったなぁ~、世界的デザイナーのコレクションって。生まれて初めてランウェイを歩くモデルを見たよ!かっこよかった~。しかし、おまえんとこは本当にすごいなぁ。こんな世界的ブランドとも取引してて!」 「またファッション関係でショーとかあったら声かけるよ。おまえ、こういうの好きだろ?」 「サンキュー!ファッションには昔から興味あるんでね」 「今日は亮さんと祐二さんという素敵な紳士たちにエスコートされてるから、ほら見て!周りの人がみんなうらやましそうに見てるわ。ふふっ、いい気分よ」 「おばぁさま、僕でよろしければいつでもお供しますよ!」 「ありがとう祐二さん。ご覧のとおり、亮さんは一向に浮かない顔ですからね。祐二さんがいて心強いわ」 「おばぁちゃん、それはないよ。僕だって、それなりに努力してるんだから」 「そう?まぁ、これからはじまるショーの打ち上げパーティーでの態度で判断します」 「はぁ・・それが一番苦手だというのに」 「おばぁさま!僕にお任せください」 「やっぱり頼りになるわ。祐二さん!」 パーティー会場は華やかな雰囲気だった。世界的ブランドのデザイナーコレクションにふさわしく、おしゃれなライトアップ、あでやかに飾られた花たち。派手ではなく、シックで品のある内装。 招待されている客たちは、皆、名の通った企業や、人物ばかり。 その中でも、マダムと美しい二人の青年たちは、一際目立っていた。 品のあるうすい藤色の着物を身にまとったマダムへは、次々とスーツ姿の男たちがシャンパンを片手にあいさつに来た。 そのたびに、マダムは笑顔で「まぁ、西野さん。お久しぶりです」など、相手の名前を呼んでは、さりげない会話を上手に楽しんでいた。
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