13人が本棚に入れています
本棚に追加
「皆様、本日は私のコレクションにお越しいただきありがとうございます。
日本でこのように盛大なショーを行うことができ、大変光栄です」
「今日のコレクションはいかがでしたか?気に入っていただけましたか?」
「これからも多くの方々に喜ばれるデザインを発表していきます」
フランスの世界的デザイナーであるフィリップ氏は、笑顔で語った。
客席からは今日のショーの成功をたたえる大きな拍手が沸いた。
亮と祐二はフィリップの隣に立つ女性の姿にくぎ付けだった。
フィリップがデザインしたシックで品のあるブルーのドレスに身を包み、彼の言葉を次々と日本語に訳している女性。あかねだった。
“カフェ・ド あかね”にいるときとはまるで別人だ。普段は化粧っけもなく、ジーンズ姿がメインの彼女。もちろんそれでも十分に美しいのだが、今ステージにいるあかねは、髪をアップにし、化粧も華やかな感じに仕上げている。それでいて、とても上品。背が高く、スタイルもいい。まるで女優かモデルだ。
挨拶が終わり、フィリップとあかねはステージを下りると、招いた客たちと次々にあいさつを交わしはじめた
「おい、亮。あかねさん、、驚いたなぁ。元々きれいな人だとは思ってたけど、ここまでとは!今日見たどのモデルよりもきれいだぜ」
「・・・」
「おい、亮!聞いてるのか?」
「・・・」
「まぁ、あかねさんなの?通訳の仕事もされてるのね。なんて美しいのかしら。
さぁ、あいさつに行きましょう」
マダムは、亮と祐二についてくるように目配せすると、フィリップとあかねのところへ行った。マダムと祐二に一歩遅れて亮も続いた。
「ボンソワール フィリップ」
最初のコメントを投稿しよう!