十一

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ステージ上でのあでやかなドレス姿。美しい、いや、麗しいという言葉がぴったりだ。 上品で、知的で、振る舞いにも気品があって・・・。 亮は、急にさみしくなった。 あかねは、自分のことを覚えているだろうか?とさえ思い始めた。 たった数日前の出来事なのに、キスしたことも、一緒に夜を過ごしたことも、すべて遠い日の夢だったように思えた。 しばらくして、亮の携帯電話が鳴った。 「もしもし、亮?おい、どこだよ」 「テラスにいるよ」 「そろそろパーティーもお開きなんで帰るぞ。戻ってこいよ」 「ああ、俺もすぐ自分の車で帰るから、おばぁちゃんと先行っててくれ」 「わかった。じゃ、高頭さんの車で帰るよ。おまえ、飲んでねぇよな?」 「あたりまえだろ。心配するな。じゃぁ、おばぁちゃん頼むよ」 亮は電話を切って、その場を去ろうとした。 「亮さん?」 さっきから空を眺めていた男が、亮に話しかけた。 「あ、やっぱり亮さんだぁ!」 「え?キーちゃん?」 「うん、そうだよ!亮さんも来てたんだぁ。もしかして祐二さんやマダムも? あ、今の電話、祐二さんから?」 「そう。キーちゃんここへは・・・」 「ああ、僕、ファッションの勉強してるんだ。それで、あかねさんが“お友達がファッションショーするから見においで”って誘ってくれたの。そのお友達が、まさか、あの有名なフィリップ・ベルナールだとは思わなかったけどね」 「友達?」 「うん、学生時代からのお友達だって」 「へぇ~」 「さて、パーティーも終わったようだし。これからもうひと仕事っと」 「え?仕事?」
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