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ステージ上でのあでやかなドレス姿。美しい、いや、麗しいという言葉がぴったりだ。
上品で、知的で、振る舞いにも気品があって・・・。
亮は、急にさみしくなった。
あかねは、自分のことを覚えているだろうか?とさえ思い始めた。
たった数日前の出来事なのに、キスしたことも、一緒に夜を過ごしたことも、すべて遠い日の夢だったように思えた。
しばらくして、亮の携帯電話が鳴った。
「もしもし、亮?おい、どこだよ」
「テラスにいるよ」
「そろそろパーティーもお開きなんで帰るぞ。戻ってこいよ」
「ああ、俺もすぐ自分の車で帰るから、おばぁちゃんと先行っててくれ」
「わかった。じゃ、高頭さんの車で帰るよ。おまえ、飲んでねぇよな?」
「あたりまえだろ。心配するな。じゃぁ、おばぁちゃん頼むよ」
亮は電話を切って、その場を去ろうとした。
「亮さん?」
さっきから空を眺めていた男が、亮に話しかけた。
「あ、やっぱり亮さんだぁ!」
「え?キーちゃん?」
「うん、そうだよ!亮さんも来てたんだぁ。もしかして祐二さんやマダムも?
あ、今の電話、祐二さんから?」
「そう。キーちゃんここへは・・・」
「ああ、僕、ファッションの勉強してるんだ。それで、あかねさんが“お友達がファッションショーするから見においで”って誘ってくれたの。そのお友達が、まさか、あの有名なフィリップ・ベルナールだとは思わなかったけどね」
「友達?」
「うん、学生時代からのお友達だって」
「へぇ~」
「さて、パーティーも終わったようだし。これからもうひと仕事っと」
「え?仕事?」
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