十一

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亮はどきりとした。 「(まさか俺のことを?)」不意の言葉に、月明かりでもわかるほど思わず顔が赤くなった。 「どうしたんですか?亮さん。顔赤いですよ?」 「え?ああ、なんでもない」 「もう、付き合って2年になるわ。今、一緒に住んでるの」 亮はさっきとは反対に、血の気がサーと引いて、絶望の淵に一瞬にして追い込まれたような気持になった。 「??亮さん?大丈夫ですか?今度は真っ青ですよ。体調悪いんですか?」 「い、いや。大丈夫だ。ところで、キーちゃん、俺ら、いつまでこうしてなきゃならないんだい?」 「もうちょっと、あ、そろそろですね」 「本当なの?あかね」 「もちろんよ。あ、ほら、丁度あそこに。紹介するわ。 あかねは「キーちゃん!こっちこっち!!」とキーを呼び、 「紹介するわ、公夫さんです」とフィリップに紹介した。 「こんにちは。公夫です」 「彼もね、ファッションの勉強をしているの。フィリップ、先輩としていろいろとアドバイスしてあげてね」 「君があかねの恋人?・・そうか、あかねがしあわせならそれでいい。 これからもあかねをよろしくお願いします。彼女はとてもピュアで賢明で美しい、素晴らしい女性です。どうぞお幸せに」 キーは「ありがとう」と、とりあえず答え、続けてあかねも 「ありがとうフィリップ。うれしいわ」と言った。 「けれどあかね。また僕が日本に来たときは、こうして僕の仕事を手伝ってくれるね。君ほど優れたパートナーはそうそういないからね。よろしく頼むよ」 「もちろんよ。友人として、喜んで力になるわ。今度はぜひ私のカフェにも遊びに来て」 「ありがとう。では・・僕は先に失礼するよ」 フィリップは去って行った。その背中には哀愁が満ちていた。 フィリップが去ったのを確認すると、あかねはホッと一息ついて 「キーちゃ~ん、本当にありがとう~!助かったわ!」 「いえいえ。毎度のことですから。あかねさんの彼氏役、結構板についてきたと思いませんか?」 「そうね、板についてきたわ。アカデミー賞もらえるくらいよ」
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