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「いや」
「まさか、亮くんがあそこにいるとは思わなかったわ。驚いちゃった」
「驚いたのは僕ですよ。まったく。外国人の痴話喧嘩かと思ったら、いきなり聞き覚えのある声がするから。見たら、あかねさんなんだもん」
「まったく」
あかねは困ったような顔をした。
「でも、ちょっと安心しました。キーちゃんが登場したら“お断り”なんでしょ?
幸い、僕のところにキーちゃんは彼氏役で登場してないから、まだ可能性あるってことですよね?」
「それは・・」
「ははっ、そうだ。可能性あるってことだ。うん!」
亮は嬉しそうに言った。
「亮くん」
「僕、希望を捨てずにけな気に待ってるんですよ。あかねさんの答え。偉いでしょ」
「・・・」
「朝・・モーニングしなくなったのは、僕のせい?気まずかった?」
「・・・」
「僕、あかねさんを困らせてる?」
「・・・」
「あかねさん、ちょっと携帯かして」
そろそろ“カフェ・ド あかね”に着くタイミングで亮が言った。
「なぜ?」
「いいから」
店の前に着き、あかねから携帯を受け取ると、亮はなにやら文字を打ち始めた。
すると、亮の携帯電話にメールが届き、次に電話のベルが鳴った。
自分の電話の表示を確認すると、亮はあかねに携帯を返した。
「あかねさんが答えたくなった時、いつでも連絡して。俺、待ってるから」
「亮くん」
「今日はお疲れ様でした。じゃぁ」
「ありがとう」
あかねは車を降りた。
亮は運転席から手を振り、車を走らせた。
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