好きなのに・・・

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 村田がいつも「俺の夢だったんだ。」と、言っていた3人の初ライブが2か月後に決まった。麗華はあれからひと時も竜の傍を離れる事はなかった。麗華は必死に竜の気を自分に向けようとしていた。竜は春奈が気になってしょうがなかった。あれからドンドン春奈が竜から遠ざかっていくような気がしていた。胸が苦しかった・・・。竜が麗華と会っているときには、春奈は涼と会っているようだった。涼と春奈が二人っきりで会うのは、今までにあの映画の時しかなかったのに・・・。竜はイライラしていた。竜は涼と二人っきりになった時聞いてみた。 「なぁ。涼・・・。お前・・・春奈と付き合ってるのか?」 涼の顔がこわばる。 「いーや・・・。」 竜は涼のこわばった顔を見て嘘だと思った。竜はきつい口調で、 「嘘言ってんじゃねーよ!!お前の顔に書いてあるんだよ!!」 涼の顔が一気に歪んだ。 「お前こそ、麗華とはどうなってんだよっ!!」 涼が竜の胸ぐらをつかんでくる。 「今、麗華の事は関係ないやろがっ!!」 涼の手を振りほどく。 涼が青い冷たいゾッとするような目で竜を見て、静かに言う・・・。 「春奈は・・・。春奈はお前の事が好きなんだよ・・・。俺じゃあなく・・・。」 そのままうつむいた・・・。続けて、 「俺は分かってたんだよ。ずっと・・・。春奈がお前を好きだと分かってて・・・。そしてお前も春奈の事が好きだって、分かってて言わないで・・・お前と麗華がくっつけばいと、そしたらきっと春奈も振り向いてくれるかもって・・・ずっと思ってた・・・。卑怯だって何度も何度も思った・・・でも・・・それでも、俺にはそうする事しかできなかった・・・。」 竜は呆然として聞いていた・・・。一番信頼していた奴に裏切られていた・・・。・・・だけど、違う・・・もし俺でも涼と同じ事をしていただろう・・・。涼の気持ちが痛いほど分かった。涼の方が俺よりも何倍も苦しかっただろう・・・。 涼は、 「もう分かっただろ・・・。俺は最低な奴だったんだよ!親友を裏切ってたんだよ!そして・・・一番愛している春奈の事も・・・。」 涼の目からポタポタと涙が落ち始めた。竜は涼に何も言えなかった。 竜はこれからどうしていいか分からなくなった。これ以上涼のマンションには居られない事だけは分かった。お互い大好きな者同士ずっと傷つけあうだろう・・・。  竜は涼のマンションを出た。
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