0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
今日も元気よく春奈がやって来た。
「おはよぅ~。今日はすっごいいいお天気だから散歩にでかけようよぉ~。私がとびっきりの所に連れて行ってあげるからね。」
「あぁ。病室ばかりじゃ退屈になってきたしな。先生も体はもう元気だって言ってたし。」
春奈の顔がぱぁ~と明るくなった。
「初めてのデート!!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んでいる。
「早く早く!!」
春奈が竜の手をとってせかした。竜は照れたように笑いながら春奈の後をついて行く。
外は本当にいい天気で気持ちがよかった。竜はう~んと伸びをして、
「本当に気持ちがいいなぁ~。」
と、言って外の空気をいっぱい吸い込んでいた。
「そうでしょ?今日は私の秘密の場所に連れて行ってあげるからね。」
「おっ!秘密の場所かぁ~。楽しみだなぁ~。」
二人はお互いの顔を見合わせて笑いあった。
森の中をどんどん進んで行くと目の前に大きな湖が広がっていた。
春奈が振り向いて満面の笑みで、
「ここよっ!私の秘密の場所。誰にも教えてないの!寂しい時や辛い時には必ずここに来て湖の音や鳥の声や草や木の音を聞きながら、ぼ~っと眺めてるとどんどんどうでもよくなってきて何もかも吹っ飛んじゃうような気がするの。」
「そうなんだ~。なんかわかる気がするよ・・・。」
春奈は竜の目の前に立って竜の目をジーと見つめた。
「これからはあなたと私の秘密の場所になったね。」
春奈は嬉しそうに笑った。
本当に奇麗な湖だった。春奈の顔もキラキラと輝いていた。
「春奈はいっつも元気だな。」
「そんな事ないよ~。」
春奈が照れ笑いをすると、
「だって、いつもニコニコ笑ってるし。」
「・・・あなたと一緒にいられるからだよ・・・。」
「ん?」
「あっ!何でもない!気にしないで~!」
春奈は顔を真っ赤にしながらぶんぶんと首を振った。そして、遠くを見ながら・・・。
「いつまでもこうしていたいなぁ・・・。このまま時間が止まってくれたらいいのに・・・。」
「そうだな・・・。」
春奈が竜に寄り添う・・・竜は優しく抱きしめた・・・。二人の鼓動が一つになる・・・。
「幸せ・・・。」
「俺もだよ。」
この時春奈は・・・この幸せはいつまで続くんだろう・・・。と考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!