恋愛はただ座ってるだけじゃ、電車みたいにはたどり着かない。

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しばらくお互いの事を話しながら電車の揺れに身を任せていた。 野崎はやはり仕事で品川に来ていたらしく、始発で戻るところだったらしい。 私は東北の田舎町の出身で、友達の紹介で彼と出会った事や、付き合って二年だとか、彼が元々横須賀の人だという事まで詳しく話をさせられた。 「……あ」 野崎が不意に顔をあげると電車の速度が落ち、ゆっくりと停車した。 「ここは?」 旅行初心者、下調べも無しに田舎を飛び出したオマヌケな私は、なんでも知っていそうな野崎に聞くしかない。 「ここで乗り換えれば、羽田へ行くぞ」 「え……」 乗り換えのある駅だからか、停車時間が長めだとアナウンスがあった。 「もし本当に、彼氏が浮気してたら?」 そんな事ない……って、はっきり言えたらいいのに。 「そんな現場をその目で見に行く事になるかもしれないんだぞ」 実際に見てしまうよりならここで引き返して、あとでメールか電話で話し合った方がいいのかもしれない。 「ケンカしたり、複雑な気持ちになるくらいなら、そういうやり方もアリだと思う」 「……それでも、顔を見て話をしたいです」 私のために。
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