act.1 瀬野なずな

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店の勝手口から少し離れた場所。 トヨタのクラウンが止まっている。 つかつかと足早に近づき、助手席の窓を軽く叩いた。 カチンという軽い音。 助手席のドアを開け、滑り込むようにして乗り込んだ。 そうして、隣に居る男を睨む。 ノンフレームの眼鏡の奥から見える――鋭い眼光。 それとは対称的な理知的な風貌。艶やかな黒髪。鍛え上げられた身体――。 私のもう一つの仕事の相棒の男――佐多亨。 実際は、相棒ではなく――『飼い主』のような存在なのだが。 睨み付ける私の視線と佐多の視線が絡み合う。 佐多が何かを言いたげな風に、鼻で笑った。
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