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店の勝手口から少し離れた場所。
トヨタのクラウンが止まっている。
つかつかと足早に近づき、助手席の窓を軽く叩いた。
カチンという軽い音。
助手席のドアを開け、滑り込むようにして乗り込んだ。
そうして、隣に居る男を睨む。
ノンフレームの眼鏡の奥から見える――鋭い眼光。
それとは対称的な理知的な風貌。艶やかな黒髪。鍛え上げられた身体――。
私のもう一つの仕事の相棒の男――佐多亨。
実際は、相棒ではなく――『飼い主』のような存在なのだが。
睨み付ける私の視線と佐多の視線が絡み合う。
佐多が何かを言いたげな風に、鼻で笑った。
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