act.1 瀬野なずな

28/29
89人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
助手席に着くなり、缶コーヒーを開け、一口飲む。 それを複雑そうな表情で佐多が見ていた。 「てめ……。自分の分だけ買ってきたのかよ?」 「欲しけりゃ、自分で買いに行けば?」 脚を組み、これ見よがしに缶コーヒーを飲む。 佐多が舌打ちをしながら、バサリと書類を手渡してきた。 「一時間だ。一時間で頭に叩きこめ」 それだけ言うと、車のエンジンを駆けた。 缶コーヒーの飲み口を口でくわえながら、受け取った書類を捲っていく。 「おい、シートベルト。それと……その中身、車にぶちまけるんじゃねぇぞ」 くわえていた缶コーヒーを手に取り、佐多を睨み付ける。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!