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「本当にねぇ……。小さな子はちょっと油断すると熱を出すから……」
佐和さんが笑いながらそう言った時だ。
カチャン、という軽い音。
店の前に折り畳み式の自転車を止め、カウンターに近づいてくる青年が見えた。
……う。
なんてタイミングの悪い……。
心の中で毒づく。
「いらっしゃい。遥汰君。今日は何にする?」
佐和さんが明るい声でそう対応すると、青年――遥汰がニコニコと笑いながら、答えた。
「なずなさん」
ビキッと身体が固まる。
自分は今、うまく笑えてるのか心配だ……。
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