act.1 瀬野なずな

8/29
前へ
/29ページ
次へ
「良かったわね、遥汰君もなずなさんも」 いや、だから、何がいいんですか、佐和さん。 佐和さんも遥汰も、ニコニコしながらこちらを見ている。 二人とも――とても良い人だ。 良い人だけど――否、良い人だからこそ。 辛くなるのだ。 自分の立場を考えた時――いかに自分が二人と釣り合わないか――。 二人を見ていると、いかに自分が汚れた存在なのか――。 それを思い知らされるから……。 それでも、ニコニコと笑っている遥汰を見ていると、断りづらい。 観念して、遥汰に返事をしようとした時だ。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90人が本棚に入れています
本棚に追加