act.1 瀬野なずな

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ズボンのポケットに入れているスマホが震え出す。 二人に謝りながら、スマホを取り出すと、メールの着信だった。 その履歴を見て、表情が強ばる。 ――『佐多 亨』 『店の仕事が終わったら来い。店の裏側に車を止めている』 それだけが素っ気なく書かれている。 ラインではなく、メールというところが用心深いあいつらしい……。 妙なところに感心しながら、遥汰の方に向き直った。 「ごめん、遥汰君。一緒に帰れなくなっちゃった」 おどけてそう言うと、遥汰が怪訝そうな顔をした。
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