act.2 火蜥蜴~サラマンダー~

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口の中に広がる鉄の味――。 頬が熱い――。 容赦のない殴りかた――。 殴られる瞬間、咄嗟にとった受け身のおかげでダメージは少なくて済んだが……。 「ほら、顔を見せて」 ベッドの上で、頬を押さえている私の肩を掴んで、顔を上げさせられ。 「……いいね、その怯えた顔。ぞくぞくするよ」 怯えた“ふり”をしている私を満足そうに眺めながら、男が手錠を取り出してきた。 「これ……つけさせて貰うよ?」 男の歪んだ笑顔と手錠が近づいてくる。 ――めんどくさい。 こんな男の相手をすることが心底めんどくさい。 ――さっさと片付けよう。
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