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口の中に広がる鉄の味――。
頬が熱い――。
容赦のない殴りかた――。
殴られる瞬間、咄嗟にとった受け身のおかげでダメージは少なくて済んだが……。
「ほら、顔を見せて」
ベッドの上で、頬を押さえている私の肩を掴んで、顔を上げさせられ。
「……いいね、その怯えた顔。ぞくぞくするよ」
怯えた“ふり”をしている私を満足そうに眺めながら、男が手錠を取り出してきた。
「これ……つけさせて貰うよ?」
男の歪んだ笑顔と手錠が近づいてくる。
――めんどくさい。
こんな男の相手をすることが心底めんどくさい。
――さっさと片付けよう。
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