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指輪の先から出ている針を耳から引き抜くと――男の首ががくりと向こう側を向いた。
指輪をクルリと回すと、一瞬で針が消えた。
ベッドの上で、荒くなった息を整える。
首筋と腹に走る痛みを逃がそうと、息を吐き、よろよろとベッドから降りた。
のんびりしている間はない――。
このまま、ここから素早く立ち去り、外で車を回して待機しているだろう佐多のところまで行かなければ――。
「へぇ……」
それは突然聞こえた声だった。
全身に緊張が走る。
身体中がセンサーになったように――警告音が頭に響く。
「体さばきも綺麗だし、キレがあるし……得物もおもろいやん。何それ? どこで売ってんの? 俺も欲しい」
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