act.2 火蜥蜴~サラマンダー~

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『危険』――全身の神経がそう訴えている。 声のする方――部屋の入り口を睨む。 「こえー……。そんな睨むなや……」 苦笑しながら、声の主――男が首をゆっくりと回す。 ――警告音が頭に響く。 入り口に陣取っている男――。 『異様』 そんな言葉しか出てこない。 黒い豹柄の入った赤いカッターシャツ――。 大きくはだけさせた胸元から見える、銀の十字架――。 革のズボンに黒のブーツ――。 そして――なによりも男を印象的に見せているのが――右目の眼帯。 『異様』としか言い様のない男が口に棒つきのキャンディをくわえ、ニヤニヤと笑いながらこちらを見ていた。
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