act.2 火蜥蜴~サラマンダー~

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「まぁ、そんな怖い顔せんと、あんたもこれ食うか?」 ズボンのポケットから棒つきのキャンディを取り出し、私の方に向けた。 「いらんの? 飴ちゃん?」 黙ったままの私に男が笑いながら近づいてくる。 がりっという音が響く。 男が口の中のキャンディを噛み砕いている音―― ガリガリと音をさせながら、男が「ほら」と言い、キャンディを手渡そうとしてきた。 その男を無視して横を通り抜けようと動いた時―― 「待ちぃや」 低くドスの効いた声とともに、首筋に何かがあてがわれる。 折り畳み式の警棒――。 男に視線をあわせる。 「どこ、行くんや?」 ニヤニヤと笑っている男の顔――。 けれども、目は全く笑っていない。
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