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男が跳躍するように動いた瞬間、私も動いた。
男の死角――眼帯のつけられた右側から、掌底を打ち付ける。
けれども――
「甘いっ!!」
男が反転してかわし、なぎはらわれた警棒が私を襲った。
「!!」
腹に走る激痛。
口の中に苦いものが広がり、床に倒れ込む。
咳き込みながら、口を拭い、素早く立ち上がるも、足はガクガクと震えている。
「……あんた、ホンマにおもろいわ、いや、最高、ハラショッ!!」
男が心底楽しそうに笑いながら、警棒を肩に担ぎ、ゆっくりと近づいてくる。
「手負いの状態で俺をここまで翻弄する動きしたん……あんたが初めてや。あれを喰らってもまだ立つか……」
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