act.2 火蜥蜴~サラマンダー~

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男が跳躍するように動いた瞬間、私も動いた。 男の死角――眼帯のつけられた右側から、掌底を打ち付ける。 けれども―― 「甘いっ!!」 男が反転してかわし、なぎはらわれた警棒が私を襲った。 「!!」 腹に走る激痛。 口の中に苦いものが広がり、床に倒れ込む。 咳き込みながら、口を拭い、素早く立ち上がるも、足はガクガクと震えている。 「……あんた、ホンマにおもろいわ、いや、最高、ハラショッ!!」 男が心底楽しそうに笑いながら、警棒を肩に担ぎ、ゆっくりと近づいてくる。 「手負いの状態で俺をここまで翻弄する動きしたん……あんたが初めてや。あれを喰らってもまだ立つか……」
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