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男と女の矯声が響く空間を進んで行き、一つの部屋にたどり着く。
部屋の中には先客が居た。
「やあ、待ってたんだよ」
先客――男は佐多には目もくれず、私に近づき、微笑んだ。
男の手が私の腰に回され、グッと引き寄せられた。
上背のある、細身で整った顔立ちのその男は、IT関連の会社の若手社長だとかなんとか――車の中で佐多から手渡されたあの資料に書いてあったことを思い出す。
洗練された身のこなしの――イケメン社長。
普通に立ってるだけで女は寄ってくる。
けれども。
この男には厄介な趣味がある。
趣味というより――『病気』
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