act.2 火蜥蜴~サラマンダー~

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それでもこの男はクラブにとって上客である。 凶行を知ってはいても、断ることができない。 断ることもできないが――これ以上女を潰されるのもたまったものではない。 だから、クラブの元締めの一人が依頼してきた。 「あの男を殺してくれ」――と。 佐多から手渡された資料によれば、恋人を男からダメにされたとか書かれていたような気もするが…… そんなことどうでもいい。 目の前で私の腰を抱き、笑っているこの男――。 こんな男の相手をすることを考えただけで、辟易する。
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