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そのまま佐多を残し、立ち去ろうと動いた時だ。
「……だから?」
それは――身体の底から凍えさせるような冷たい声――。
「だから、なんだ?」
酷薄な笑み――。
思わず息を飲む。
「心配する“ふり”がなんだって? そうやってヒス起こして、ギャンギャン吠えて噛み付けば、俺が優しく頭撫でてくれるとでも期待したのか?」
身体が熱い――。
なのに――震えが止まらない。
「よく帰ってきたなって誉めてくれると思ったのか?」
佐多が冷酷な視線で私を居抜く。
「お前こそ……甘ったれてんじゃねぇぞ。“仕事”はこなして一人前じゃねぇ。当たり前っていうんだよ」
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