act.3 カイト

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身体の震えが止まらない。 頭の奥が……目の奥が……熱い――。 少しでも気を抜けば泣いてしまいそうで。 唇を噛みしめ――こらえる。 この男の前で……涙を見せたくない。 この男の前で……涙を見せないことだけが、私の唯一の抗いだから。 深く息を吐き、冷酷な視線を跳ね返すようにして、鼻で笑ってやる。 「だから……“帰ってきてやった”んじゃない」 そんな私を見ながら、佐多も鼻で笑い返す。 「本当に……良い性格してるな、お前は」 「お互い様でしょ?」 吐き捨てるようにしてそう言いながら、くるりと佐多に背中を向けた。
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