act.3 カイト

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「待て」 「何? ちゃんと帰ってきたんだから文句はないんでしょ?」 呼び止められ、鬱陶しそうにそう答えれば。 「車に早く乗れ。送ってやる」 「あんた、バカじゃないの?」 嘲笑いながら、佐多を睨み付ける。 「あんたの顔見るのが嫌だから、歩いて帰るって言ってんの」 そのまま、佐多を無視して歩き出した時―― 佐多が私の腕を掴んだ。 「離して!!」 振りほどこうと腕を振り上げる。 ふわり、と。 柔らかい何かが肩にかけられた。 「夜風が冷たい。傷にさわる」 それは佐多が着ていたスーツ。 優しく包み込むように私の肩にかけ。 「……何もないよりはマシだろ」 それだけ言うと、車に乗り込んだ。
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