64人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっちゃん……」
まだ何か言い足りなさそうな千冬さんに笑いかける。
「それに……あの人にも言われちゃったんだけどね……。私、この仕事以外に取り柄ないから。堅気になっても、八雲さんや千冬さんみたいにはなれないと思うから……だから……」
「そうじゃないでしょ?」
言いかけた私を遮るようにして、千冬さんがため息を吐いた。
「……仕事をやめられない本当の理由は……佐多さんから離れたくないからなのよね?」
千冬さんが悲しげに呟く。
「なんであんな男が良いのかしらねぇ……。あんただったら他に良い男はいくらでも寄ってくるだろうに……。なんであの男なの?」
黙ったままで居ると、千冬さんが再びため息を吐いた。
「女ぐせは悪い、そのくせ女に対して優しい訳でもない、自分勝手だわ、上から威張るわ、薄情だわ……。ああ、なんか言っててイライラしてきたわ……」
最初のコメントを投稿しよう!