act.4 居酒屋 八千代

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「あ……」 千冬さんに言われて思い出す。 佐多と別れた時に借りたスーツ―― 「あの……千冬さん、ドレスは処分しちゃっても良いんだけど……スーツ。スーツは返さないといけないから……」 「ああ、そういえばあのスーツ、男物みたいだけど……」 「……佐多さんが貸してくれたの。風が冷たいからそれを羽織って帰れって……」 そう言うと、複雑そうに笑いながら千冬さんが「ふーん……」と呟いた。 「優しいところもあるじゃない、あの男……。ちょっとだけ見直したわ。ファンタに入ってる果汁ぐらいの割合だけど」 「少なっ!! てかほぼ無果汁!!」 八雲さんがすかさず突っ込む。
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