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頬に夜風があたり、心地よかった。
居酒屋八千代から少しだけ歩いた場所にある、小さなアパート。
アパートの階段をゆっくりと上る。
カンカンという軽い音だけが響く。
自分の部屋の前に立つと、疲れが一気に襲ってきた。
早く横になりたい……。
それだけしか頭になかった。
ドアの鍵を開け、玄関の明かりをつける。
1DKの小さなアパートの部屋――。
入ってすぐのところにある台所の冷蔵庫に八雲さんから貰ったうま煮と焼おにぎりを入れて、そのまま部屋のベッドに倒れこむようにして、横になった。
襲ってくる睡魔に意識がボンヤリする中、投げ捨てるようにして置いた鞄の隙間から、スマホの着信を告げる明かりが見えた。
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