act.4 居酒屋 八千代

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「……なっちゃん?」 私の声に気づいた女性――千冬さんがこちらを振り返り、驚いたような表情を見せた。 「……ただいま」 照れたように笑いながらそう言うと、千冬さんがあわてて駆け寄ってきた。 「なっちゃん!! あんた、その怪我……!!」 「ちょっと……ヘマして……」 笑いながら千冬さんに答えると、千冬さんが私を支えながら、店の中に声をかけた。 「やっくん!! やっくぅぅん!! ちょっと、来て!! 早く!! 早く来て!! 魚捌いてる場合じゃない!!」 「なんなの、ちーちゃん。お店の前で騒がしい。お客様が逃げちゃうでしょ?」 お店の中から呆れたように言いながら、一人の男性が出てくる。 少し薄くなった頭に人の良さそうな顔――。 「八雲さん……。ただいま……」 出てきた男性に笑いかける。
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