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「なっちゃん……」
八千代の奥にある座敷――。
八雲さんから手当てをして貰い、千冬さんが貸してくれたTシャツとジーパンに着替え――。
人心地ついた私を気遣わしげに見ながら、千冬さんが声をかけてきた。
「なっちゃん……。やっぱりこの仕事から手を引いた方が良いよ。あんただって足を洗いたいって言ってたじゃないか」
「……ん」
千冬さんの言葉に曖昧に笑いながら返事をする。
「このままじゃ、あんた……ボロボロになって、組織に使い捨てられちゃうよ? わかるだろ?」
それには答えず、千冬さんを見つめる。
「佐多さんがあんたを手離さないのかい? なら、やっくんが話をつけてあげるから……」
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