act.5 東野遥汰

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「……ねえ? なずなさん? 俺の話、聞いてる?」 言われてはっとなる。 「あ……ごめん、遥汰君……」 そう言うと遥汰がクスッと笑った。 「聞いてなかったんだ……」 「ホントごめん……」 もう一度謝ると、少しもったいぶった風にジーパンのポケットから何かを取り出した。 「これはますます付き合ってもらわないとなぁ……」 そうして「はい」と言いながら、遥汰がポケットから取り出したものを手渡してきた。 ……チケット? 「……これ」 チケットを見ながら遥汰を見ると、にっこりと子供のような笑顔を向けてきた。 「今度の日曜日。大学でさ……学祭があるんだけど、後輩に頼まれちゃって」
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