act.8 密戯

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――ホンマにいけすかんオッサンやな……。 毒づきたくなる気持ちを押さえ、海を見る。 深夜の埠頭―― 遠くに見える観覧車のイルミネーションが闇色の海にキラキラと瞬いている。 夜の潮風が頬をかすめて、髪を揺らす。 ――せめて一緒にいるのが蜥蜴ちゃんならな……。てか、蜥蜴ちゃんなら大歓迎や。 ――ホント、兄貴らの言い付けとはいえ、何でこんなオッサンの相手せなアカンねん……。 嫌悪感を隠すのも面倒で、これみよがしにため息を吐くと、向こうも“それ”を感じとったのか、不機嫌そうに俺を睨んだ。 「で? わざわざ八雲に仲介させてまで俺に会いたい理由はなんだ?」 「ん? ああ……。兄貴たちからの伝言っすよ。“商売するのは勝手だけど、もうちょい控えめに”ですって、佐多さん」 ふざけたように、そう言うと、佐多がチラッとこちらを見て、小馬鹿にするように笑った。
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