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「……なぁに?」
「……別に」
佐和さんの惣菜屋にて――。
黄昏時の迫るいつもの時間――。
いつものように、彼――東野遥汰は店にやって来て――。
いつものように、いくつか惣菜を買って――。
いつもの優しい時間――。
ただ、少しだけ違うのは……。
「もう……。さっきから人の顔を見ながらニヤニヤして……。なんなの? いったい?」
「……つけてくれてるんだ、それ」
遥汰が嬉しそうに笑いながら、指をさす。
「あ、これ……」
遥汰から貰ったペンダント――。
鎖の部分をそっとさわりながら、遥汰の方を見る。
「今日で一週間目だ」
「え!? 数えてるの!? 日数!?」
「うん、だってさ、嬉しいじゃん。そうやって、ずっとつけてくれてるの見ると。プレゼントしたかいがあったなぁって……」
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