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「俺は困らないよ? モテないし、むしろなずなさんに飼われたいなぁー」
「遥汰くんっ!!」
冗談だとはわかっていても、度の超したその言葉に顔がみるみるうちに熱くなる。
「あははは!! なずなさんって……本当にすぐ顔が赤くなるから、可愛いんだよね」
「遥汰くんが変なことばっかり言うからでしょ!?」
思わずこぶしを振り上げると、遥汰が笑いながら、佐和さんに助けを求めた。
「ちょっと、佐和さん!! 店員さんがお客さんに暴力ふるってるよ!! 注意して!!」
「あ!! ずるい!! 佐和さんに加勢を頼むなんてずるい!!」
店の前でカウンター越しにそうやり取りしてる時だった。
ジーパンのポケットに入れているスマホから着信音が響いた。
佐和さんと遥汰に断りを入れ、スマホの画面を覗き、サッと血の気が引いた。
『佐多 亨』――
あの男からの――メールの受信を告げる着信だった。
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