act.10 好きな景色

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そんな俺の複雑な思いなど知るよしもなく、彼女は続ける。 「今日さ、それを確信しちゃって……。まぁ、前からそうだとは思ってたんだけど……はっきりと私のことは道具と思ってることがわかったから……」 彼女の独白をそこまで聞いて、勢いよくテーブルの上に突っ伏した。 ゴン!!という音が響き、彼女があわてて、腰を浮かせた。 「え!? ちょっと!? どうしたの!?」 突っ伏したまま、ハァーとため息を吐き―― 「……蜥蜴ちゃん」 「なぁに!? 大丈夫なの!?」 「大丈夫。大丈夫やけど……」 突っ伏したまま、ぐるっと横を向く。 さっきから俺を睨んでいたおばちゃんと目が合い、おばちゃんがあわてて目を反らした。 「大丈夫なんやけどな……。俺……あのオッサンが心底気の毒になってきた……」 「佐多が? 何で?」 ……何で?って!!
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