act.10 好きな景色

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しどろもどろに何故かオッサンをフォローしている俺を見ながら、彼女がクスッと笑った。 「……慰めてくれるんだ?」 「は!? いや、その……」 「ありがとう。カイト……案外、良い人なんだね」 「はい? 何を言うてんの?」 彼女の『良い人』という言葉にひっかかりを感じ、思わず反論する。 「俺は良い人ちゃうで。自分の感情のままに動くし、人を傷つけることにも躊躇いとかあれへんし」 「つかな……」と彼女を冷たい目で見据える。 「蜥蜴ちゃんもプロやからわかるやろ? 簡単に信用したらあかん。不用意に近づいたら……痛い目見るで?」 それは半ば自分に言い聞かせるかのようで。 そんな俺を見て、再び彼女が困ったように笑う。 「……そうなんだけど。でも嬉しかったから。慰めてくれたり、庇ってくれたり……嬉しかったから。だからありがとう」
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