act.10 好きな景色

8/18
前へ
/18ページ
次へ
――こいつは……マジでアカンかもしれん。 これ以上深入りしたらダメだと本能が警告を発している。 秘密倶楽部で初めて彼女に会った時――。 冷酷に。冷静に。無慈悲に命を葬るその姿にぞくぞくして惹かれたが―― 無邪気に無防備に接してくる彼女を見て、マズイと本能が警告している。 深みに嵌まれば、抜けられなくなる。 それがわかっているのに、動くことができない。 このまま、彼女を放って、置いて帰るのが正解。 それがわかっているのに―― 動けない――。 黙ったままの俺に彼女が怪訝そうな表情をする。 「ん? あ……いや……」 心の中を見透かされまいと、ごまかすようにして彼女に笑い返した。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加