act.11 kiss

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鳴り続けるスマホを前に、どうしたら良いのか悩み―― 意を決して、着信に出た。 「……もしもし?」 声が――震える。 「……なずなさん?」 聞き覚えのある――遥汰の優しい声――。 たった一週間だけだったのに――。 それは凄く懐かしいような、切ないような―― 声を聞いて、涙が溢れそうになるのをグッとこらえる。 「良かった……。もう、出てくれないかと思ってた。俺……なずなさんにひどいこと言っちゃったから」 照れたような笑い声―― 「どうして……」 ひどいことを言ったのは、私の方なのに……。 なぜ、貴方はそんなに優しいの? 「ねぇ、なずなさん、今何処に居るの?」 「……え?」 黙ったままの私に、遥汰が優しく問いかける。
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