act.11 kiss

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「会いたい」 遥汰の声が――耳に優しく響く。 「会いたい、貴女に……すごく会いたい」 「ねえ……」 震える声で、遥汰に問いかける。 「遥汰君……今、どこにいるの?」 「……八千代の近く」 その言葉を聞いた瞬間―― 私は走り出していた。 水しぶきがはねあがり、ズボンが濡れる。 でも、そんなこと気にならなかった。 会いたい――。 ただ、ただ―― 遥汰に会いたくて、走り続ける。 八千代の近くに来た辺りで、遥汰の姿を探しながら、それでも、私は走り続ける。 視界に―― 見慣れた姿が入った。 「遥汰君!!」 傘を放り投げ、彼の元に走り込む。
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