act.11 kiss

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「遥汰君……。あの……あのね!!」 気を緩めれば、言葉を飲み込んでしまいそうな自分を鼓舞するようかのように、声が大きく出てしまう。 「もう少ししたら……仕事が終わるから……一緒に帰ることってできるかな?」 「……え?」 遥汰が驚いたような表情をする。 「あの……話がしたくて……」 少しの間の後――遥汰が破顔する。 「いいよ」 笑いながら、遥汰が言葉を続ける。 「てか、嬉しいんだけど。なずなさんから誘ってくるなんて……。明日の天気は暴風雨かもね」 ズキッと胸が痛む。 彼に強く惹かれている……。 なのに……。 「なずなさん? ひょっとして……怒った?」 黙ったままの私を不安そうに見ている遥汰に無理やり笑顔を返す。
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