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「遥汰君……。あの……あのね!!」
気を緩めれば、言葉を飲み込んでしまいそうな自分を鼓舞するようかのように、声が大きく出てしまう。
「もう少ししたら……仕事が終わるから……一緒に帰ることってできるかな?」
「……え?」
遥汰が驚いたような表情をする。
「あの……話がしたくて……」
少しの間の後――遥汰が破顔する。
「いいよ」
笑いながら、遥汰が言葉を続ける。
「てか、嬉しいんだけど。なずなさんから誘ってくるなんて……。明日の天気は暴風雨かもね」
ズキッと胸が痛む。
彼に強く惹かれている……。
なのに……。
「なずなさん? ひょっとして……怒った?」
黙ったままの私を不安そうに見ている遥汰に無理やり笑顔を返す。
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