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「え? なんで?」
「なんでって……。うーん……。怒ってるわけじゃない感じ……。今日のなずなさん、少し落ち込んでるって感じ?」
胸が痛む。
離れなければならない……。
彼を巻き込んではいけない……。
そう思えば思うほど……胸が痛くなる。
「ま、いいや」
屈託のない笑顔でそう言いながら――。
「とりあえず、晩のおかず。ホウレン草のごま和えちょうだい」
「あ、うん……」
商品を取り出し、精算を済ませながら、遥汰は続ける。
「じゃ、俺、ちょっと先にあるスタバに居るから。仕事終わったら、電話してよ」
「あ、それが……その……スマホ、家に忘れて来ちゃって……」
本当は違うのだが。
佐多と揉めたあの時――。
鞄にスマホを入れたまま、佐多のクラウンに置いてきてしまったのだ。
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